介護 社会福祉

映画「名も無い日」を福祉の視点から考えてみた。

先日、映画「名も無い日」を見てきました。

そこで、主人公の弟オダギリジョー演じる”あっくん”は孤独死してしまうのですが

どうしたら防ぐことが出来たかを考えてみました。

多少、ネタバレがあるのでそこは注意して下さい。
気にならない程度だとは思います。

その答えは
・地域のつながり
・行政との連携

です。

「名も無い日」映画紹介


この映画「名も無い日」が撮影された名古屋市熱田区は私の住んでいる土地です。
ロケ地も知っているところが多く、映画撮影のお手伝いをした方もお知り合いです。

最初は、知っている場所を映画で観て興奮しましたが、物語が進むに連れこうしたら良かったのではないか?
と思うようになりブログを書いてみました。

そのため、映画の感想というよりも
専門職としての考え
を書いてます。

あらすじ

名古屋市熱田区に生まれ育った自由奔放な長男の達也(永瀬正敏)は、ニューヨークで暮らして25年。自身の夢を追い、写真家として多忙な毎日を過ごしていた。 ある日突然、次男・章人(オダギリジョー)の訃報に名古屋へ戻る。自ら破滅へ向かってゆく生活を選んだ弟に、いったい何が起きたのか。圧倒的な現実にシャッターを切ることができない達也。三男(金子ノブアキ)も現実を受け取められずにいた。 「何がアッくんをあんな風にしたんだろう?どう考えてもわからん。」 「本人もわからんかったかもしれん。ずっとそばに、おったるべきだった。」 達也はカメラを手に過去の記憶を探るように名古屋を巡り、家族や周りの人々の想いを手繰りはじめる。
出典:公式「名も無い日」

 

土地の紹介

舞台となった愛知県名古屋市熱田区の歴史から紐解いていきます。

概要歌川広重「隷書東海道・宮」場所は現在の愛知県名古屋市熱田区にあたる。東海道でも最大の宿場であり、1843年(天保14年)には本陣:2軒、脇本陣:1軒、旅籠屋:248軒を擁し、家数:2924軒、人口:10,342人を数えたという。古くからの熱田神宮の門前町、港町でもあり、尾張藩により名古屋城下、岐阜と並び町奉行の管轄地とされた。桑名宿とは東海道唯一の海路である七里の渡しで結ばれていた。現在も、折りにふれて宮~桑名間を遊覧船で渡る現代版「七里の渡し」が行われる[1][2]。江戸時代中期以降は四日市宿へ直接渡る航路(十里の渡し)もよく利用された。
wikipedia:宮宿

 

熱田神宮のお膝元

熱田神宮のお膝元で昔は栄えていましたが、現在は下町の住宅街となってます。
昔から住んでいる方も多く、古い民家も多いですが第二次世界対戦時に火災で消失した家が多くあり戦前の家はあまり残っていない土地です。

昔から住んでいる人たちと新しく入ってきた人たちが混在するような土地柄です。

福祉専門職が考えた映画「名も無き日」


映画の内容は割愛しますが救えた命なのではと考えてしまいます。
主人公の弟は「大人の引きこもり」になったと考えられます。

大人の引きこもり

朝日新聞の記事を引用すると

中高年ひきこもり61万人 初の全国調査、若年層上回る編集委員・清川卓史、田渕紫織2019年3月29日 10時00分シェアツイートlistブックマーク43メール印刷写真・図版東京都によるひきこもりの実態調査について、当事者家族ら(右)は、従来30代までとしていた調査対象の年齢制限を取り払い、高齢化などの実態を把握したうえで政策も見直すよう求める要望書を都青少年課に手渡した=2018年7月、東京都庁写真・図版[PR] 40~64歳のひきこもり状態の人が全国に61・3万人いる。内閣府は29日、そんな推計を公表した。「中高年ひきこもり」の全国規模の数が明らかになるのは初めて。従来ひきこもりは青少年・若年期の問題と考えられてきたが、その長期化・高年齢化が課題となる状況が浮き彫りとなった。息子53歳、母から食事受け取る日々 中高年ひきこもり 内閣府が2015年度に実施した調査で、15~39歳の「若年ひきこもり」は54・1万人と推計された。今回、40~64歳の「中高年のひきこもり」について国レベルで初の調査を実施。調査方法の一部変更があったため単純比較はできないが、その結果に基づく推計数は、若年層を上回った。 分析にあたった内閣府の北風幸一参事官は「想像していた以上に多い。ひきこもりは決して若者特有の現象ではないことがわかった」と述べた。 今回の推計は、ひきこもる中高年の子と高齢の親が孤立する「8050(はちまるごーまる)問題」が、特殊な例ではないことを示すものといえる。また、「就職氷河期世代」(おおむね現在の30代後半~40代後半)の多くが40代に達したため、中高年のひきこもりが増えているとの指摘もある。 調査時期や手法の違いから「若年」と「中高年」の推計を単純合計はできないとしつつも、北風参事官はひきこもり総数が「100万人以上」になるとの見方を示した。 今回の調査は18年12月、無作為抽出した40~64歳5千人を対象に実施(有効回答65%)。その結果、ひきこもっていた人の年齢層は40代が38・3%、50代が36・2%、60~64歳が25・5%だった。期間は5年以上の長期に及ぶ人が半数を超え、20年以上の人が2割弱を占めた。性別は男性76・6%、女性23・4%で、男性が多い傾向があった。ひきこもり状態にある人の比率は全体の1・45%。この比率から全体状況を推計した。 内閣府はこれまで2回、15~39歳のひきこもり調査を実施してきた。しかし、ひきこもりの長期化傾向が明らかとなり、40代以上を除いた調査では全体像がわからない、という指摘が当事者団体などから出ていた。それを踏まえ、初めて中高年の調査に踏み切った。(編集委員・清川卓史、田渕紫織)ひきこもりに詳しい精神科医の斎藤環・筑波大教授の話 中高年のひきこもりが社会問題化してこなかったのは、国による調査がなされなかった影響が大きい。全国の自治体や研究者から、ひきこもりの半数が40歳以上という調査結果が次々と出ていたにもかかわらず、国は放置してきた。こうした国の姿勢は「ひきこもりは青少年の問題」という先入観を広げることにもつながった。その責任は重い。今回の調査をきっかけに、中高年の当事者のニーズを丁寧にくみ取った就労支援に加え、当事者や経験者らが集まって緩やかに経験を共有できる居場所を全国につくることが必要だ。     ◇ 〈ひきこもり〉 国が用いる定義では、仕事や学校などの社会参加を避けて家にいる状態が半年以上続くことを言う。内閣府調査では、ほとんど自室や家から出ない「狭義のひきこもり」に加え、趣味の用事のときだけ外出する人も含めた「広義のひきこもり」を推計している。従来は専業主婦(夫)や家事手伝いは一律にひきこもりから除外していたが、今回から変更。回答から、最近半年間に家族以外との会話がほぼなかったとわかる人は、ひきこもりに含めている。
出典;中高年ひきこもり61万人 初の全国調査、若年層上回る

 

映画内ではご両親は50代位で病気で他界しています。

大人の引きこもりが顕在化し孤独死になってしまった事例だと思います。

現実問題として8050問題という高齢の両親と中年の子供という関係があります。

8050問題

引きこもりの若者が存在していたがこれが長期化すれば親も高齢となり、収入に関してや介護に関してなどの問題が発生するようになる。これは80代の親と50代の子の親子関係での問題であることから「8050問題」と呼ばれるようになった[5]。該当している親子の親には収入がなくなっている状態であり、様々な理由から外部への相談も難しく、親子で社会から孤立した状態に陥っている。
出典 8050問題

8050問題は他人事ではなく私の身内にもあります

私の兄貴のこと

実家の状況

兄は3歳年上
高校はを中退後自衛隊に入隊
自衛隊で多額の借金を作り親に返済してもらう
実家に戻るが仕事は長く続かずにすぐに辞めてしまう
時々仕事するが続かない
兄ももう50歳
両親は70代後半
年金ぐらしの両親
親のスネをかじり続けている


もうすぐ、リアル8050問題になる

私の状況

実家を出て20年以上
名古屋で家族を持っている
子供もいる
仕事もある
家もある
実家に帰る予定はない

高齢の両親の買い物などに連れて行ってもらえているので、遠方に住む私としては実家にいる兄には感謝している面もあります。

50歳をむかえる大人は普通に仕事について暮らすことは正直難しいと考えられる。
実家への援助は難しい。
兄には生活保護で暮らしいて欲しいと思っている。
兄は実家を出る気はない様子。
数年後どのような状況になるのか先が見えない。

そのようなことで同じような事になっている家庭は多く
これから社会問題として大きな事になっていくと思う。

8250問題は身近な問題にり社会問題化していく。
年金ももらえないし、大半が生活保護になると思う。

大人の引きこもりが多くなっている
内閣府調査「ひきこもり中年、60万人超」の衝撃。やり直しのきかない社会に
出典 月間SPA

まとめ

映画の事に話を戻すと

ココがポイント


・地域のつながり
・行政との連携


が大切な役割になってきます。

地域のつながりを持つ
ご近所付き合い
挨拶
ゴミ出し

ご近所同士顔を合わせる時はあると思います。
そのときの挨拶や何気ない会話などをすることで繋がりができます。

民生委員の役割

民生委員とは

皆さんがお住まいの地域に、民生委員・児童委員と呼ばれる方々がいるのをご存じですか。
「民生委員」は、民生委員法に基づいて厚生労働大臣から委嘱された非常勤の地方公務員です。社会福祉の増進のために、地域住民の立場から生活や福祉全般に関する相談・援助活動を行っており、創設から今年で100年の歴史を持つ制度です。また、全ての民生委員は児童福祉法によって「児童委員」も兼ねており、妊娠中の心配ごとや子育ての不安に関する様々な相談や支援を行っています。
核家族化が進み、地域社会のつながりが薄くなっている今日、子育てや介護の悩みを抱える人や、障害のある方・高齢者などが孤立し、必要な支援を受けられないケースがあります。そこで、民生委員・児童委員が地域住民の身近な相談相手となり、支援を必要とする住民と行政や専門機関をつなぐパイプ役を務めます。
出典 ご存じですか?地域の身近な相談相手「民生委員・児童委員」

同じことを繰り返さないために
つながりを持つ
ご近所さんや地域との繋がりが命を救う

映画内の祭りの役割

映画には2つの祭りが登場します。

・熱田まつり
・堀川まつり

熱田まつり
熱田神宮のお祭り
地域の人達が楽しみにしている
夏の始まり

堀川まつり
地域のまつり
30年ほどおこなわれている
地域のつながり

祭は地域のつながりの象徴であると考えられます

映画内では繋がりの象徴である「祭」に大人になってから行っているシーンは無いのです

地域から分断されている

と考えられます。

子供の頃の回想シーンでは祭が出てきますからね。
そのような意味でも「祭」役割は大きいと思います。

コロナ禍で各地の祭の中止が多いですが地域の分断にならないことを願います

ロケ地 七里の渡しの夕暮れ

 

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